試験管型の巣でコンパクトに飼い始めたい。
けれど、海外の大型種では、初期コロニーの段階から試験管型が手狭になることがあります。

パイプセパレーターは、大型種の初期飼育と、より多くのアリを省スペースで管理するために開発した巣です。
- 巣内の容量を広げる
- 中板で上下に足場を作る
- 床が濡れたときの一時的な逃げ場を設ける
大型種の初期飼育に必要だった空間
当店の巣は、国内のアリ飼育者が最も多いであろう「クロオオアリ」を基準に設計しているものが多くあります。
理由は簡単。
必要以上に大きくすると、置き場所だけでなく費用も増えるためです。
一方、同じオオアリでもズアカオオアリのようなクロオオアリよりも大きな海外大型種を扱うようになると、試験管型のサイズでは不足する場面がありました。
そこで、細長い巣の省スペースさを活かしながら、初期コロニーを収める空間を広げる方向で作ったのがパイプセパレーターです。

開発当時は、分解・組み立てのしやすさや、3Dプリンターで造形する部品を減らして製造時間を短くすることも意識しました。
現在の選び方では、飼育するアリの大きさや必要な収容量、日々の管理のしかたに合うかを確認してください。
試験管セパレーターv2とは別の選択肢

試験管セパレーターv2から、全部こちらに替えたほうがいいの?

初期管理の中心は、今もバランスの取れた試験管セパレーターv2だよ。
空間が足りないときや、中板の足場・逃げ場を使いたいときにパイプセパレーターを選んでね。
この記事では、その違いと中板の役割を先に確認し、給水方法、ホルダーでの拡張、スターターセットの選び方へ進みます。
省スペースで使えるクリアパイプの巣
本体は、アリが暮らすクリアパイプの巣部と、軽石を入れた保水部で構成されています。
給水口から保水部に水を入れ、巣内を加湿します。

- 本体サイズ:約195×28×高さ28mm
- 巣部のパイプ:内径18mm・外径21mm
- 対応するアリ:体長3mm以上で、幅10mmの通路を通れる種類
- 収容目安:中板なしでクロオオアリ換算最大60匹、中板ありでクロオオアリ換算最大120匹程度
パイプセパレーターは、湿潤種・乾燥種の両方に対応する汎用巣です。
ただし、種類に合わせた給水管理は必要です。
収容数は、クロオオアリを基準にした目安です。
種類や個体の大きさが違えば同じ匹数にはならないため、巣内の混み具合も見ながら増設を考えてもらいたいと思います。
給餌をしないのであれば、新女王は巣単体でも使用できますが、給餌するには餌場が別途必要です。
給餌用品をこれから揃える場合は、後半で紹介するスターターセットが選びやすい構成です。
中板で増える足場と収容スペース
専用の中板を入れると、クリアパイプの内部を上下2層に分けられます。
中板の上だけでなく下側にもアリが張り付けるため、同じパイプの空間を使いやすくなります。

もうひとつ重視したのが、床が濡れたときの逃げ場です。
- 結露・排泄・漏水などで床が濡れると、アリがその場所を避け、幼虫を置けなくなることがある
- 中板があれば、下の床が濡れたときに上階へ一時的に退避できる
中板をメッシュ状にしたのは、足場として使いやすくするとともに、中板の上に来た水が下へ落ちる構造にするためです。
貯水部を横方向に配置するセパレーターへ、二層式の巣の構造を一部取り入れています。
取り付けるときは、切り込みがある側を給水部の溝にはめ込みます。
本体単品では中板の同梱オプションを選ぶか、専用中板を別途用意してください。
スターターセットには中板が同梱されています。

中板があれば、水が漏れてもそのまま使えるの?

中板は一時的な避難場所になるけれど、床が濡れたときはアリを移して巣を乾かす必要があるよ。

避難できても、濡れた床はそのままにしないんだね。

中板いれるときは、巣内の高さが半分になるから大型種買うときは注意してね。
給水の目安と結露時の対応

給水量の目安は、軽石が適度に湿る程度です。
透明な保水部を見ながら少しずつ給水してください。
一定量を毎回入れるのではなく、残っている水分を確認して調整します。
給水部に水を入れすぎると、巣部へ漏れ出すことがあります。
保水部と巣部が分かれていても、過給水や結露で床が濡れないとは限りません。
- 床が濡れたら、生体を別の巣やケースへ避難させる
- クリアパイプを取り外して乾かす
- 乾いた状態を確認してから再使用する
中板の上へアリが避難していても、濡れたままの使用は続けないでください。
また、移動するときは接続部分が抜けないよう、クリアパイプと給水部を支えて持ちます。
試験管セパレーターv2・小型二層巣との選び分け
似た大きさの初期コロニー向けの巣でも、収容量や湿り方、設置のしかたに違いがあります。
細長い形のまま収容量を増やすパイプセパレーター
- 試験管セパレーターv2に近い長さで、より多くのアリを収容したい場合の候補
- 中板入りの巣1個:クロオオアリ換算最大120匹程度
- ホルダーを介して、横置きリンクスシリーズの餌場や巣へ接続できる
小規模なコロニー向けの試験管セパレーターv2
試験管セパレーターv2は、小規模なコロニー向けの巣です。
- 本体:約20×20×195mm
- 収容目安:クロオオアリ換算最大30匹
- 直径18×長さ180mmのガラス試験管を使用。現行パイプのクリアパイプとは別構造
現在のコロニー規模と手持ちの用品に合わせて選んでください。
給排水のしくみや使い方は、試験管セパレーターv2の解説記事で紹介しています。
乾燥寄りの環境と積み重ね管理なら小型二層巣

小型二層巣は、乾燥寄りの環境と積み重ね管理が特徴です。
- 本体:約94×36×45mm
- 収容目安:クロオオアリ換算最大50匹
- 試験管セパレーターよりやや乾燥寄り。濡れや多湿を嫌う種類向け
- 石膏巣のような高湿度の環境を好む種類にはおすすめしない
複数の初期コロニーを積み重ねて管理したい場合も候補になります。
当店で使用を確認しているのは2段重ねです。
収容数だけで決めず、飼育する種類の湿度の好みと設置場所を合わせて考えてください。
単品とスターターセットの選び方

単品とセットは、どう選べばいい?

手持ちの餌場や継手を使うなら単品。
給餌用品もまとめて揃えるなら、4種類のスターターセットから選べるよ。
アリの生体と餌は別売りです。
本体単品:手持ちの用品と組み合わせる
単品の基本内容は、接続部・クリアパイプ・給水部・クリアケースが各1個です。
中板、遮光カバー、継手は必要に応じて追加します。
接続部のネジ穴には外径10mmのチューブを直接差し込めるほか、自在継手v2シリーズのパーツを使えます。
給蜜器・通気用フィルター・封印用の栓など、使い方に合う部品を選んでください。
飼育キャップセット:最小限の給餌スペース

- 中板入りの巣1個に、飼育キャップセットを組み合わせる構成です。
- 給餌側には、飼育キャップv2が2個、内径14×外径16mmのホース数cm、対応するチューブ用ストレートが含まれます。
- 飼育キャップセット連結時の全長目安は約245mmです。
自在継手セット:飲み水の常設

- 飼育キャップを使う小さな構成に、外付け給蜜器と分岐用の継手を加えたセットです。
- 飲み水を常設しながら、キャップで餌を与えたい場合に向いています。
- 予備ボトル、4分岐ホルダー、エンドプラグ、連結用継手、接続用ホースとチューブ用ストレートが含まれます。
エサ場セット:餌場での行動観察

- ラウンド型の餌場と巣1個を、内径8×外径10mmのホースでつなぐセットです。
- 5ccタイプと1ccタイプの給蜜器・給水器、脚パーツ・溺死防止プレート付きのエサ皿、チューブスロープが含まれます。
- 餌場の中で餌を運ぶ様子や活動を観察したい場合に選びやすい構成です。
プレミアムエサ場セット:巣3個とリンクス餌場

横置きリンクスv2のシングルエサ場タイプと、パイプセパレーターホルダーを組み合わせるセットです。
中板入りのパイプセパレーターが合計3個になり、ホルダーと餌場をチューブレスで連結できます。
- 外付け給蜜器2個、予備ボトル、脚パーツ・溺死防止プレート付きのエサ皿、エンドプラグ4個、半円形の連結用パーツ2個、締結ボルト4個を含みます。
- 巣の交換や増設、分巣する種類の取り分けも考えている場合の候補です。
プレミアムエサ場セットでは、通常のパイプ用遮光カバーは使えません。
ホルダーとカバーの併用可否を確認してからオプションを選んでください。
ホルダーを使った交換・増設

パイプセパレーターホルダーは、パイプセパレーターを3本接続するためのベースパーツです。
ホルダー側にも巣として使える空間があり、接続したパイプと一続きの巣になります。
- ホルダー単体は約125×125×高さ36mmです。
- パイプを接続した設置面積の目安は約125×240mmで、パイプが前後方向へ伸びます。
- 中板入りパイプ3本を接続した構成の収容目安は、クロオオアリ換算最大380匹です。
- ホルダー単品の内容は、ベース部1個、フタ1個、パイプ接続口パーツ3個です。
- パイプセパレーターは別途用意するか、中板入りパイプの同梱オプションを選びます。
- 横置きリンクスとつなぐ連結用パーツや、使わない接続穴を塞ぐ継手も、構成に合わせて確認してください。
ホルダーの加湿と水切れ

ホルダーにも水を入れるの?

ホルダーには保水部がないから、つないだパイプ側の保水部で加湿するんだ。

水切れの確認もパイプ側を見るんだね。
ホルダー自体には保水部がありません。
加湿が必要な場合は、接続したパイプセパレーターの保水部を使います。
湿度を必要とする種類では、とくにパイプ側の水切れに注意してください。
小さなコロニーからの使い始め

ホルダーはパイプ3本を接続する前提の製品ですが、未使用の接続口をエンドプラグで封印し、パイプ1本から使うことも可能です。
ただし、使わない口を開けたままにせず、必要な封印部品を揃えて使ってください。
パイプを1本も接続しない使い方は想定していません。
パイプを取り外すときは、生体の位置と開口部を確認し、脱走を防げる状態で作業します。
ホルダーを移動するときはベース部を持ち、外れやすい観察用のガラスフタを落とさないよう注意してください。
既存の横置きリンクスv2に追加する場合は、横置きリンクスv2の交換・追加部品ガイドで、手持ちの構成に必要な部品を確認できます。
遮光カバーの選択と併用できない構成

遮光カバーは必須ではありませんが、新女王や初期コロニーの管理では推奨しています。
観察時の光の影響が気になる場合は、本体に対応する専用カバーを選んでください。
ホルダーで保持する構成では、通常のパイプ用遮光カバーを装着できません。
後からホルダーへ移行する予定がある場合も、同じカバーをそのまま使い続けられるわけではない点を確認してください。
購入前のチェック
- アリは体長3mm以上で、幅10mmの通路を通れるか
- 本体単品の場合、中板・給餌用品・必要な継手を揃えているか
- スターターは飼育キャップ/自在継手/エサ場/プレミアムのどれにするか
- ホルダーは単品か、パイプ同梱オプションか、プレミアムセットか
- 使わない接続口を塞ぐ部品と、連結用パーツが足りているか
- ホルダーとパイプ用遮光カバーを同時に使う構成になっていないか
まず巣1個を省スペースで使いたい場合は、本体単品かスターターセットから。
同じパイプを使いながら横置きリンクスへ広げたい場合は、ホルダーやプレミアムエサ場セットが候補になります。
アリの種類、現在のコロニー規模、日々の給餌と観察のしかたに合わせて選んでください。


