・アリ飼育にちょっと慣れてきたから肉食性の強いアリについても知りたいな
・国内にも生息するカッコいい肉食の蟻はいないのかな!?
こんな疑問を本記事では解決します。
この記事を書いた人
アリ飼育用品店「あり巣 in underground」の製作担当です。
数十種類超のアリ飼育経験をもとにおすすめの飼育方法などを書いていきます!
日本では南方の亜熱帯地域に生息する「ミナミフトハリアリ」。
国内にも生息する種ですが、生息域は限られており、飼育情報や写真がとても少ない種類です。
今日はそんな「ミナミフトハリアリ」についてご紹介しますね!
- ミナミフトハリアリってどんなアリ?
- ミナミフトハリアリの飼育方法
- ミナミフトハリアリの販売先
ミナミフトハリアリってどんなアリ?
(↑詳細ページクリックで国内種カテゴリページが開きます。在庫切れの場合、商品ページが非公開の場合があります。)
ミナミフトハリアリは、国内にも生息するハリアリの仲間です。
国内に生息するハリアリの仲間では大型の部類になります。
体色はマットな黒を基調とします。
アゴや触角、脚はマットな褐色です。
見た目の派手さはありませんが、ずっしりしたそのフォルムには力強さを感じます。
また、体格に比して大きな顎は肉食性の強さを連想させます。
少し調べたところ、正式な分類は現状で定まっていないようです。
国内種のハリアリで大型のものは少ないから特別感があるよね!
本記事で扱うアリは海外採集の「Pachycondyla javana」として入手したものです。
「Pachycondyla javana」として認識され、流通する蟻には複数種が混じっている可能性があります。
そこで本記事のアリの種名は仮とさせていただき、修正等の可能性があることをご了承の上、この先を読み進めてください。
その他、当サイトをご利用の上での注意事項はプライバシーポリシー・免責事項・利用制限等をご覧ください。
生息環境と分布
九州南部より南の暖かい地域に分布します。
主に森林内の石下や土中、朽木に営巣します。
シロアリの住処のそばによく営巣するみたいなので、本州でもよく見るオオハリアリと同じような感じですね!
海外だと台湾や東南アジアにもいる可能性があるんだってさ!
体長
体長 | 備考 | |
女王 | 約8mm | ワーカーよりも胸部と腹部が大きく、全長も少し大きい。肉眼でも簡単に見分けがつく。 |
ワーカー | 7mm | 海外の飼育情報には7-10mmとの記載もあり。手元のワーカー実測値は約7mmでした。 |
体長は約7mm。女王はワーカーより少し大きい。
女王は胸部が発達しており、ワーカーと比べると太く、より力強い印象を受けます。
本州でよく見るオオハリアリの体長が4~4.5mmなので1.5倍以上の大きさです。
国内に生息するハリアリでは最大級ではないでしょうか。
オオハリアリのサイズ感になれていると肉眼でも観察しやすくて迫力があります!
ワーカーはほぼ一定のサイズです。
メジャーワーカーの発生はありません。
わたしの手持ちの図鑑にはサイズ7mmとの記載がありますが、海外のサイトには7-10mmとの記載も見ました。
女王の個体差があるのか、別種が入り混じった情報が混載されているのかも!?
単雌 or 多雌 ?
ミナミフトハリアリは単雌性です。
一頭の女王を中心にコロニーが形成されます。
わたしの手に入れた複数のコロニーは全て単雌性でしたが、海外の飼育情報には多雌性との情報も見かけました。
単雌も多雌のコロニーもあるのかもしれません!?
幼虫はトゲトゲでよく動く
有名なクロオオアリなどの幼虫は、のっぺりしています。
それに対し、ミナミフトハリの幼虫はトゲトゲしています。
また、幼虫のころから採餌も積極的で、頭を伸ばして成虫が運んできた昆虫を食べる様子が観察できます。
動きも幼虫の時から活発で面白いですよ!
卵は特にトゲトゲしてないよ!
死んだフリをする?!
写真撮影のため、飼育ケースからコロニーを取り出した時の事です。
別のケースに落とすと女王とワーカー複数匹が脚を畳んで、横たわって動きません。
飼育に失敗して死んじゃったのかな…
こんな風に思いましたが、よく見ると口に卵をくわえています。
何か違和感あるな。。。
少し様子を見てみよう。
なんとなくその様に違和感を覚え、観察を続けると脚が僅かに動きだします。
その後、女王も全てのワーカーも動き出しました。
ミナミフトハリは、驚くと数十秒~数分の間、死んだフリをするようです。
動画にもその様子を収めましたので、ご覧ください。
同種の別コロニーでも同じことが起きたから、この種類は危機が迫ると積極的に擬死行動をするみたいだね。
蟻で死んだフリって見たことなかったから驚いちゃった!
ミナミフトハリアリの飼育方法
ここからはミナミフトハリアリの飼育方法について解説していきます。
一緒に勉強していきましょう!
エサについて
ミナミフトハリアリは「肉食」です。
肉食性が高いので、昆虫を主食としてあたえましょう。
生餌のおすすめとしては、シロアリ>レッドローチ>ミルワームです。
野生でもシロアリの捕食をしているようなので、用意できるならシロアリを与えるのが良いでしょう。
ワーカーが単独でも積極的に狩りをします。
狩りの時の武器はお尻の「毒針」。
腰を曲げて獲物に「ブスッ」と刺し込んで毒を注入することで相手の動きを止めます。
肉食性ではありますが、蜜も飲みます。
また、生餌よりも嗜好性が劣るものの、粉末餌(プロテインパウダー)も食べていました。
蜜餌と肉餌のおすすめ品は下記の記事に詳しくありますのでご覧ください。
おすすめの巣のタイプ
ミナミフトハリアリにおすすめの巣のタイプは「石膏」「試験管」「アクリル」です。
加湿された環境を好む種です。
乾燥には弱いので、巣内加湿できる環境で飼育します。
ただし、肉食性のアリには積極的に昆虫を与えるので、腐敗した際のアンモニアなどがこもらないよう、餌場の通気は必ず確保してください。
メッシュ付きのエサ場をおすすめいたします。
また、脚が弱くツルツルした面や垂直面を登るのを苦手とします。
なので、試験管やアクリル製の巣では水平移動であれば出来ますが、垂直面や重い獲物の持ち運びの時は脚が滑ってしまいます。
同じ理由から、餌場の壁を登って脱走される事は少ないので、その点は扱いやすいでしょう。
以上の理由から、ミナミフトハリアリの飼育については、脚が滑りづらい石膏巣をベストな選択肢とさせていただきます。
石膏巣の中でも「垂直型」よりも床面積の大きい「平型」の方がすごしやすいみたい!!!!
わたしのお店でも平型石膏巣は売ってるし、作り方も公開してるよっ!!!
平型石膏の作り方は下記の記事に詳細があります。
加湿飼育については下記の記事に詳細がありますのでご覧ください。
繭作りの手助けに土や砂を入れる
先述のようにアリの巣の種類としては、「石膏巣」で飼育可能です。
さらに、健康にミナミフトハリアリを育てるためには、細かな「砂」や「土」をエサ場や巣に少し投入することです。
この砂の役割は、幼虫が繭になる時の糸をかける基点となります。
ミナミフトハリアリのワーカーは砂を持ち帰って、幼虫の周りに置くことで繭作りの手助けをしているようです。
観察面に砂がついたりして、観察性は下がるかもしれませんが、砂や木くずを入れてあげましょう。
繭作りの砂は細かい物がいいね!
飼育の適正温度
適正温度は24℃~28℃が推奨とされています。
夏場は30℃を超えないように注意が必要です。
また、生息地は日本の中でも暖かい気候ですので、冬場は10℃以下にしないように加温の必要があります。
わたしは下記の器具を使って加温しています!
発泡スチロールに穴あけしてコードを通すだけなので簡単ですよ!
冬眠はする?越冬の方法は?
ミナミフトハリアリは、冬眠をしない種類です。
先述の通り、冬場は10℃以下にしないように保温の必要があります。
冬は加温の必要がありますが、冬眠しないので年中飼育を楽しめますよ!!
15℃以上で冬場は管理していきたいね。
ミナミフトハリアリの販売先
ミナミフトハリアリを下記にて販売開始しました。
国内種であっても地域性のある種類は、入荷が不安定です。
販売額も変動することが多いので、一度チェックしてみましょう!
(↑詳細ページクリックで国内種カテゴリページが開きます。在庫切れの場合、商品ページが非公開の場合があります。)
まとめ
今回は、国内種のミナミフトハリアリについてご紹介いたしました。
飼育に際しては、昆虫が主食になるので生き餌を管理できる方向けだと思います。
「国内にも生息するカッコいい肉食性のアリはいますか?」このように聞かれたらわたしは、ミナミフトハリアリと答えようかなとこの生体を見て思いました。
マットな質感と大きなアゴ、そしてずっしりとしたフォルム。
肉食性を体現しているような見た目ですので、ハリアリ好きの飼育者には刺さる種類だと思って、それが伝わるように心がけて写真を撮りました。いかがでしたでしょうか?
この記事がミナミフトハリアリの飼育に役立てばうれしく思います。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
感想やアドバイス、間違いのご指摘などありましたらコメントやTwitter、お問い合わせフォームからお知らせ頂ければ嬉しいです!
その他のアリの飼育情報を記事にまとめています。ご覧ください。
コメント
飼育して3〜4年飼育しているミナミフトハリアリが前泡?みたいなやつが吐いているんですが今は吐いていません。調べても出てきませんのでもしわかったら教えてください。女王が3匹います。
泡を吐くというのはちょっと知らないですね。
ルフィペスフトハリアリなんかはお尻から泡?粘液?みたいなのを刺激するとだすことがあるので近しい何かでしょうか。
すみませんまちがえました。ミナミフトハリアリの泡を吹く行動は経験上からして泡を吹く行動はたぶんですが前マニカルビダみたいに後からミニ女王が生まれるのですね。その卵を泡で守っているのですが後からミニ女王が度々生まれてくるので後天的多雌性の可能性が高いですね。泡を吹く行動はそういうことではないのでしょうかね?