平型だけじゃなくて試験管型の石膏巣も自作したい。
作り方がわからないから教えてほしい。
こんな困りごとを本記事では解決します。
この記事を書いた人
アリ飼育用品店「あり巣 in underground」の製作担当です。
これまでにアリの巣を1000個以上つくった中で得たコツなどを書いています。
この記事でわかること
- 試験管型石膏巣とは?
- 必要な材料
- 試験管型石膏巣の作り方
試験管型石膏巣とは?
アリ飼育において最も使われる巣のタイプが石膏巣ですね。
その中でも平型や縦置きのものが一般的ですが、試験管をケースとして使ったタイプもあり、それが試験管型石膏巣です。
試験管型石膏巣は、現在手に入るほとんどが輸入品で、自作する人間もごくわずかしかいません。
そのため、作り方を調べても情報があまり出てこないと思うので、この記事が参考になれば幸いです。
試験管型石膏巣のメリット
試験管型石膏巣のメリット
- 狭い所を好むアリの初期コロニーに適している
- 様々な太さから試験管を選べる
- 給水部がアリの生活空間とわかれている
- 水分量が可視化できる
上にあげたメリットの中でも特に「3」が優れた点だとわたしは感じています。
平型石膏巣にありがちな「給水しすぎて幼虫や卵が水没」ということを防ぐことができるからです。
ただし、これは試験管に給水口をあけることが必要ですので、後述いたします。
試験管型石膏巣に必要な材料
試験管
試験管型石膏巣は、ガラスでもプラスチックでも作ることができます。
ガラス製は透明度が高く、傷が入りづらいのですが、穴あけの難易度が高いです。
プラスチック製は簡単に穴があき、安価ですが傷が入りやすく透明度はガラスに劣ります。
ガラス試験管には給水口付きのものもありますので、穴あけをしない場合は、こちらがおすすめです。
試験管の太さは、飼育する生体の大きさに合わせて決めましょう!
目安としては中で女王が旋回できるかどうかです。
例)
クロオオアリなど大型種には、15mm~20mmがおすすめ。
キイロシリアゲアリなどの小型種であれば、12mm以下でも十分でしょう。
石膏
石膏は簡単に手に入る物で大丈夫です。
試験管型石膏巣は少量しか石膏を使わないので、他に使用する予定がなければ小さな袋で十分でしょう。
わた
今回は試験管の栓がない物を使用するため、入り口をふさぐためにわたを使います。
手芸用のもので問題ありません。
砂または小石
給水エリアをつくるために砂、または小石を使います。
今回は吸水性が高い小粒の軽石を使用します。
過去記事の石膏に代わる素材を考える【軽石でアリの巣作り、その1】では、野生の蟻が軽石に営巣していたこともありました。
自然のアリも選ぶ素材であるのが、選定の理由の一つです。
じょうご
石膏を試験管に流し込む時に使います。
先端が試験管の太さ以下の細い物を用意しましょう。
試験管型石膏巣を作る
試験管に給水口用の穴をあける
試験管の底から10mm程度の位置に給水口にするための穴をあけます。
穴のサイズはシリンジの先端が入る程度の小さな3mm程度です。
この時、給水穴はできるだけ真円になるように注意してあけます。
栓をしても気密性が悪いと水を貯めることが難しくなるからです。(後述)
プラスチック製の試験管を使う場合
プラスチック製の試験管は、多くのドリルで穴あけ可能です。
おすすめのドリルビットは下記にまとめてありますので、ご覧ください。
ガラス製の試験管を使う場合
ガラス製の試験管は、穴あけの難易度が少し高いので下記の記事に詳細を書いています。参考にしてください。
穴あけした後の処理
穴あけ後の穴には埋め栓をします。
使用時に中に入れた水がこぼれないためです。
3mmで穴あけしたのですが、良いサイズのシリコン栓が探しても売っていませんでした。
なので、わたしの作ったアリの巣を置いている「あり巣 in underground」の店長に取り寄せてもらいました。
またシリコン栓を使わない場合は、粘着が残ったり段々とくっつかなくなったりしますが、テープなどでふさいでも代用は可能です。
好きな方を使ってください。
ガラス試験管に穴あけが難しい人には、はじめから給水用の穴がある給水口付き試験管がおすすめだよ!
試験管に軽石を入れる
穴あけした試験管に用意した軽石を少量入れます。
2~3㎝も入れれば十分でしょう。
(下の写真は、製作時に写真を撮り忘れたため穴があいていません)
この軽石が詰まったエリアが水をためる場所になります。
石膏を溶かす
試験管に石膏を流し込むために水で溶きます。
粉の塊が消えるまでしっかりと溶かしましょう。
この時の水分量は使用する石膏の説明書きに従ってください。
水っぽい方が流し入れやすいのですが、水を多くしすぎると上手く固まらない場合があります。
試験管に石膏を流し込む
石膏を流し込むため、試験管にじょうごをセットします。
続いて石膏を流し込みます。
この時、試験管の内側に石膏が触れる面は片側だけにしてください。
流し込んだ方が固まり、アリの足場になります。
そうしてできあがったのがコチラ。
先にあけておいた給水口からシリンジで水を入れます。
軽石の部分に水がたまっているのがわかります。
アリが生活するエリアとは石膏の壁で仕切られているので、給水してもアリが水没することがありません。
また、石膏巣にありがちなどれくらい乾いているかわからないという問題もありません。
水分量が可視化できるのも大きな利点ですね!
給水後のシリコン栓は、穴に強めに押し込んでください。
気密性が悪いと水が貯められず、アリの生活エリアに流れ出ることがあります。
完成までの時間
完成までの時間は道具がそろっていれば1時間かかりません。
ただし、平型石膏巣などと比べて乾燥に時間が掛かります。
試験管は外気に触れる部分が小さいためです。
製作後、一週間程度は陰干ししてしっかり乾かしてから使用しましょう。
セッティング例
作った試験管型石膏巣をセットします。
セットと言っても簡単です。
先端のあいている部分にはチューブを中心にわたを巻いて詰めてください。
チューブの先端をふさいで女王単独時の飼育ケースにしてもいいですし、エサ場を用意すればつなぐこともできます。
クロオオアリなど大型種でも20匹程度までなら、この試験管型石膏巣1本で飼育可能です。
試験管内部は、底面が平になっていて、アリが滑りづらくなっています。
上から見るとこんな感じになります。
見た目も悪くないのではないでしょうか!?
まとめ
今回の記事では、試験管を使った石膏巣を作りました。
あまり一般的ではない巣のタイプかもしれませんが、この記事をきっかけにして作る人が増えてくれたら嬉しく思います。
ぜひ挑戦してみてくださいね!
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
感想やアドバイス、間違いのご指摘などありましたらコメントやTwitterでお知らせ頂ければ嬉しいです!
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