リクソサスアギトアリってどんなアリなんだろう?
飼育情報の少ない海外のアリについて知りたいな・・・
こんな疑問や困りごとを本記事では解決します。
この記事を書いた人
アリ飼育用品店「あり巣 in underground」にて飼育用品の開発製造販売をしています。
100種類を超えるアリ飼育経験をもとにおすすめの飼育方法などを書いていきます!
リクソサスアギトアリってどんなアリ?
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リクソサスアギトアリ(Odontomachus rixosus)は、東南アジアに生息する中型のハリアリです。
その名を表すような180度と大きく開く顎(アギト)が特徴的です。
体色については、赤身のかかった茶褐色で、日本にいるアギトアリよりも見た目は明るい色合いです。
見た目も面白いけど、目で獲物を追ったり、海老のように後ろにジャンプしたりと行動も非常に面白いアリですね!
生息環境と分布
東南アジアに広く分布しています。。
現地では土中、朽木の中に営巣しているのが見られておりますが、
湿度が高い雨季などは引っ越しがしやすいように落ち葉の中に簡易的な巣を作ることもあります。
体長
体長 | 備考 | |
女王 | 10~12mm | |
ワーカー | 8~11mm |
女王の体長(アゴ除く)は、手元の個体の実測で11mm強。
ワーカーは、一回り小さいぐらいで、8-11mmほどになります。
女王アリを見分けるコツは
・胸がワーカーと比較して大きい
・脱翅痕
この二点をみることです。
単雌 or 多雌 ?
リクソサスアギトアリは多雌性です。
コロニー規模
平均的に200匹ぐらいのコロニーが通常ですが、現地の人の話によると近隣の巣と合併することもあり、500-800匹規模にもなることがあるとのことです。
ただし、飼育下においてコロニーに追加で女王を入れる際には注意が必要で、すんなり受け入れられるときもあれば、喧嘩になることもあります。
何か理由がない限り意図的な合併は控えたほうが無難だと思います。
リクソサスアギトアリの飼育方法
ここからはリクソサスアギトアリの飼育方法について解説していきます。
一緒に勉強していきましょう!
エサについて
リクソサスアギトアリは「肉食」です。
肉餌だけで飼育が可能です。
蜜餌も与えれば飲みますので餌のバリエーションとして入れてもよいと思いますが、飲んでいても糖質よりも水分を欲しているようにも感じます。
また、顎に水をためて運ぶ姿も運が良いとみることができます。
基本的には活餌、または〆た直後の餌の方が反応は良いです。
乾燥餌、冷凍餌は反応が悪く、食べ残しが多くなるため、活餌の方を推奨します。
活餌に対しては、ワーカーが単独でも積極的に狩りをします。
ワーカーの数が多くなると複数のワーカーで獲物を顎で挟み狩りをするのを観察可能です。
狩りの時は大きく開いたアゴを一気に高速で閉じて、獲物を挟み込んで捕えます。
獲物に顎がかからない場合、「パチッ」という音が鳴り、反動で後ろに飛ぶこともあります。
その後のとどめの武器はお尻の「毒針」。
腰を曲げて獲物に「ブスッ」と刺し込んで毒を注入することで、獲物を麻痺させて幼虫に与えます。
おススメできる餌の種類は、
- ベストワーム
- ミルワーム
- レッドローチ
- デュビア
などです。
この中でひとつ選ぶならどの餌がいいの?
うちでメインに与えているのはベストワームだからそれがいいかな!?
ベストワームの優れている点はどんなとこなの??
ミルワームなんかに比べると外皮が柔らかいからカットせずとも食べてくれてるね。
ベストワームについての詳細は別記事があるからぜひ読んでみてね!!
その他おすすめのエサについてはまとめ記事があります。
顎が邪魔するので給蜜器での給水は本種に向きません。
飲水を与えるときは平皿タイプのものがいいよ!
また、日本のアギトアリを飼育し、うまくいかないケースとして「餌飽き」という言葉をよく聞きますが、リクソサスアギトアリはほぼ餌飽きなしで飼育可能だと思います。
おすすめの巣のタイプ
リクソサスアギトアリにおすすめの巣のタイプは「石膏」「試験管」「3Dプリント」です。
地面に巣を作る典型的な土中営巣種です。
巣内は湿っているので、飼育時も加湿できる巣がいいでしょう。
さらに、わたしが飼育経験のないアリの飼育環境を探る時にする判別方法の一つ。
「試験管判別式」による乾湿の好みの判定は、「多湿を好む」です。
「試験管判別式って何?」って方は、下記の記事をご覧ください。
加水できる巣と親和性の高い種類ですね!
以上から、ここでは「石膏巣」「3Dプリント巣」「試験管巣」をおすすめさせて頂きます。
特に強い保水性、加湿力がある巣がおすすめです。
加湿飼育については下記の記事に詳細がありますのでご覧ください。
初めての飼育でどんな飼育用品を選んだいいかわからない・・・
こんな人には、割安のセット商品がおすすめです。
長期飼育を成功させる3つのポイント
リクソサスアギトアリを含むハリアリの仲間は、長期の飼育ができずに失敗したという類の話もよく聞きます。
しかし上手く飼育していくには3点の共通項が見えてきましたので、ここでご紹介します。
【飼育ポイント1】土、木くずを投入する
先述のようにアリの巣の種類としては、「石膏巣」や「3Dプリンター巣」で飼育可能です。
さらに、健康にリクソサスアギトアリを育てるためには、細かな「土、木くず」をエサ場や巣に少し投入することです。
繭を作る際に土などを基材とします。
土がなくともエサの食べカスなどで代用することもありますが、餌場に土(ヤシガラや赤玉土など手に入りやすいもので大丈夫です)を薄く敷きましょう。
エサ場に土があることで必要な時に巣内に持ち込んでくれます。
観察面に砂がついたりして、観察性は下がるかもしれませんが、土や木くずを入れてあげるのをおすすめします。
土を使うときは電子レンジや冷凍庫を使って駆虫しないとダニなどが発生することがあるから要注意です!
【飼育ポイント2】エサは高頻度
うまく飼育するポイントの一つがエサを高い頻度で与えること。
大きな肉餌をまとめて与えるのではなく、小さめの餌をこまめに与える方がうまくいきやすいです。
エサやり頻度は隔日~週に2回以上が良いでしょう。
食べ残しはカビ、悪臭、ダニの発生要因になります。
エサは食べ切れるように観察しながら量を考えて与えましょう。
数日間エサ切れを起こしてしまうと卵や幼虫を食べてしまうよ。
ハリアリは生餌を繁殖させている十分にストックのある人に向いたアリだと思うよ!
【飼育ポイント3】ダニが出たら引っ越し
リクソサスアギトアリを飼育している上でダニが出る場合があります。
カラダに付着するタイプのダニが出た場合はワーカーを隔離したり、筆で払い落したりします。
巣は引っ越しさせていくのが良いのですが、時間がかかり、根気が必要です。
自然に引っ越しさせるとダニもついて来ますので強制引越しをさせてください。
本種に限らず、ハリアリの仲間はダニが出やすいね。
最初は気にしていたけど、最近はある程度は仕方ないって思ってる。
また、巣内を徘徊するような小さなダニは食べ残しなどを分解するため、気にしなくても問題ないことが多いですが、大量に湧いてしまうことがあります。
大量に湧く環境というのは食べ残し等の汚れが溜まっている状態なので、掃除や引越しするのを心がけましょう。
飼育の適正温度
適正温度は24℃~28℃を推奨。
夏場は30℃を超えないように注意が必要です。
※連日超えなければ問題ないことが多いですが、酷暑の時の室内は思ったより室温が上がるので注意してください。
また、生息地は日本よりも暖かい気候ですので、冬場はどれだけ低くとも15℃以上にするように加温の必要があります。20℃以上をキープするように心掛けましょう。
温度が高ければ高い方が孵化なども早くなりやすいです。
ハリアリの中では産卵から羽化までの期間は短く、卵から孵化までが1-1.5か月、幼虫の期間が約2週間(餌の量に左右されます)、繭から羽化までが1か月ぐらいです。
一度軌道に乗るとコンスタントに増え続けます。
エサ切れで幼虫等を食べられてしまわないように注意しましょう。
簡易的な温室は下記のセットで作ることが可能です。
発泡スチロールに穴あけしてコードを通すだけなので簡単ですよ!
また通年の温度対策として、エアコンを常時ONがベストなのは間違いないのですが、それが難しい人には「冷温庫」がおすすめです。
冷温庫があれば、エアコンの常時稼働も不要ですし、エアコンの電気代や「蟻なんかのためにエアコンつけるの!?」っていう家族の目が気になる人には、良い選択肢になり得ると思います。
最初に購入する必要はありますが、保温と保冷の両用タイプなので、冬には加温に必要な種類に使うこともできます。
ムダがないですね!
冬眠はする?越冬の方法は?
リクソサスアギトアリは、冬眠をしない種類です。
先述の通り、冬場は最低でも15℃以下にしないように加温の必要があります。
20℃以上をキープするように心掛けましょう。
冬は加温の必要がありますが、冬眠しないので年中飼育を楽しめますよ!!
リクソサスアギトアリの入手方法
リクソサスアギトアリの販売先
リクソサスアギトアリは海外の種類ですので、残念ながら簡単に自分で採集することはできません。
海外種は入荷が不安定ではありますが、下記で販売しています。
販売額も変動することが多いので、一度チェックしてみましょう!
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まとめ
今回は、海外種のリクソサスアギトアリについてご紹介いたしました。
女王・ワーカーともにシルエットに特徴があり、動きも活発で観察していて飽きない種類です。
日本のアギトアリ飼育で難しいという印象を持った方でも、とても飼育しやすい種類だと思います。
飼育に際しては、乾燥と餌切れ、そして毒針に刺されないように注意してください。
この記事がリクソサスアギトアリの飼育に役立てばうれしく思います。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
その他のアリの飼育情報を記事にまとめています。ご覧ください。