ムネアカナガフシアリってどんなアリなんだろう?
飼育情報の少ない海外のアリについて知りたいな・・・
こんな疑問や困りごとを本記事では解決します。
この記事を書いた人
アリ飼育用品店「あり巣 in underground」の製作担当です。
100種類以上のアリ飼育経験をもとにおすすめの飼育方法などを書いていきます!
ムネアカナガフシアリってどんなアリ?
(詳細ページクリックで海外種カテゴリページへジャンプします。在庫切れの場合、商品ページが非公開の場合があります。)
ムネアカナガフシアリは、東南アジアを中心に生息するナガフシアリ属のアリです。
毒針を持ち、樹上営巣性の乾燥種です。
体色と体形は、ムネアカナガフシアリの名前が表す通り、胸から腹柄節までが赤く、細長い形状をしています。
頭部や腹部は黒色でハッキリとした2色が特徴的な種類です。
生息環境と分布
東南アジア~インドに至るまでアジアの温暖な場所に広く分布しています。
営巣場所は、乾燥した枯れ枝を主とします。
海外の蟻友さんにムネアカナガフシアリの事を聞いたとところ、このように教えてくれました。
ムネアカナガフシアリって自然ではどんなとこに住んでるの?
枯れた木の中にいるね!
シロアリの巣の内部にいることもあるよ!
日本のオオハリアリのようにシロアリも捕食しているのかもしれませんね!
体長
体長 | 備考 | |
女王 | 12~15mm | |
ワーカー | 11~13mm |
女王の体長は、手元の個体の実測で 13 mm。
ワーカーは、メジャーワーカーは出現せず一定の形態でサイズが変化します。
10mmを超える毒針を持ったワーカーがたくさんいるのは大きな存在感があります。
大きな体と派手な2色の配色で存在感バツグンです!
狩りをする蟻の中で初心者向けの種類と言える二つのポイント
繭を作らない裸蛹の種類
同じように肉食性で毒針を持つハリアリやキバハリアリは、飼育に際して「繭の基材となる土」が必須で繭作りが鬼門と呼ばれる事があります。
少し癖があり、初心者向けとは言い難い一面がありますね。
ですが、本種ムネアカナガフシアリは繭を作らない裸蛹の種類ですので、繭の基材が不要です。
その点だけでも非常に飼育がしやすく、土を入れない巣単体での飼育が可能ですので、観察性も上がります。
石膏巣の乾燥で失敗しない
毒針を持った狩りをする大型の蟻のうち、日本で流通するものは土中性の加湿飼育する種類がほとんどです。
加湿環境で多くの生き餌を与えると腐敗したり、カビが生えやすかったりと巣内が高湿度であるが故の問題が発生しやすくなります。
それに対し、ムネアカナガフシアリは樹上性の乾燥を好む種類。
エサも腐敗しづらく、うっかりした給水忘れによる全滅!なんてことも起こりません。
極端に乾燥した飼育環境(冬にエアコンを入れて湿度10%台など)でなければ、飲水を給蜜器などで餌場に常設しておけば巣の加水は不要ですよ!
単雌 or 多雌 ?
ムネアカナガフシアリは単雌のコロニーも多雌のコロニーもある種類です。
1匹または複数の女王を中心にコロニーが形成されます。
単雌コロニーが多いみたいだけど、多雌コロニーもあるよ!
ムネアカナガフシアリの飼育方法
ここからはムネアカナガフシアリの飼育方法について解説していきます。
一緒に勉強していきましょう!
エサについて
ムネアカナガフシアリは肉食性が強く、幼虫の成長にたくさんの肉餌を要求します。
成虫は好んで蜜餌も飲みますので、あわせて与えましょう。
蜜餌を中心に肉餌も共にバランスよくあたえましょう!
高タンパク配合の総合食ですべてのアリにおすすめ!
最高のアリのエサを自負するのが「スイーツパウダーpro」です。
既にお使いの方からも非常に高い評価を頂いています。
使用者の生の声を下記の記事からご覧ください。
蜜餌と肉餌のおすすめ品は下記の記事に詳しくありますのでご覧ください。
この種は毒針を持っていて狩りをする蟻だけど、蜜エサの要求量もかなり多いよ!
スイーツパウダーproを好んで飲むからおすすめします!
ムネアカナガフシアリは顎が強いので脱走注意!!
ムネアカナガフシアリは乾燥した硬い枯れ枝に穿孔する種類のため、顎が非常に強い種類です。
その力は数か月~年単位という長い時間をかけてプラスチックケースをも削り、穴をあけます。
下記のツイートからはその穿孔能力の高さがうかがえます。
本種は毒針を持ち、人を刺すこともある種類ですので、脱走にはより注意してください。
もし、プラスチックケースの巣が削られている様子が見られたら早めの交換を検討してください。
おすすめの巣のタイプ
ムネアカナガフシアリにおすすめの巣のタイプは「木」「試験管」「3Dプリント」です。
土中性のアリよりも乾燥を好みますので、巣への加湿は不要です。
巣は乾燥させて飲水は給蜜器などで餌場に常設する乾燥飼育をするようにしてください。
乾燥飼育については下記の記事に詳細がありますのでご覧ください。
また、わたしが飼育経験のないアリの飼育環境を探る時にする判別方法の一つ。
「試験管判別式」による乾湿の好みの判定は、「湿度を嫌う」です。
初めは試験管で飼育していましたが、外に必死に出ようとしているので試しに簡易的にプラケースに接続した所、中から出て外で暮らすようになりました。
試験管に水を貯めた程度の湿度も嫌なようです。
「試験管判別式って何?」って方は、下記の記事をご覧ください。
とここまでだと木製巣が一番!となる気もしますが、ムネアカナガフシアリは先述の通り顎の力がとても強く、木材やプラスチックに穿孔します。
そこで初期コロニーに最適なのは下記のセットです。
このセットは生体商品ページから割安で選べるようになってるよっ!!
試験管セパレーターに入りきらないコロニーは横置きリンクスのセット(遮光カバー付き)で飼育しています。
まだこの飼育器では2か月ほどの飼育歴ですが、ステンレスメッシュを噛むように誘導して作ったつもりなので、今のところ食い破られないですね!
以上から、ここでは「木」「3Dプリンター巣」「試験管巣」をおすすめさせて頂きます。
飼育の適正温度
適正温度は24℃~28℃が推奨とされています。
夏場は30℃を超えないように注意が必要です。
また、生息地は日本よりも暖かい気候ですので、冬場はどれだけ低くとも15℃以上になるように加温の必要があります。20℃以上をキープするように心掛けましょう。
わたしは下記の器具を使って加温しています!
発泡スチロールに穴あけしてコードを通すだけなので簡単ですよ!
また通年の温度対策として、エアコンを常時ONがベストなのは間違いないのですが、それが難しい人には「冷温庫」がおすすめです。
冷温庫があれば、エアコンの常時稼働も不要ですし、エアコンの電気代や「蟻なんかのためにエアコンつけるの!?」っていう家族の目が気になる人には、良い選択肢になり得ると思います。
最初に購入する必要はありますが、保温と保冷の両用タイプなので、冬には加温に必要な種類に使うこともできます。
ムダがないですね!
冬眠はする?越冬の方法は?
ムネアカナガフシアリは、冬眠をしない種類です。
先述の通り、冬場は15℃以下にしないように加温の必要があります。
20℃以上をキープするように心掛けましょう。
冬は加温の必要がありますが、冬眠しないので年中飼育を楽しめますよ!!
ムネアカナガフシアリの入手方法
ムネアカナガフシアリの販売先
ムネアカナガフシアリは海外の種類ですので、残念ながら簡単に自分で採集することはできません。
海外種は入荷が不安定ではありますが、下記で販売しています。
販売額も変動することが多いので、一度チェックしてみましょう!
(↑詳細ページクリックで海外種カテゴリページが開きます。在庫切れの場合、商品ページが非公開の場合があります。)
まとめ
今回は、海外種のムネアカナガフシアリについてご紹介いたしました。
毒針を持つ大型種では土中性の種類が多く流通していますが、巣内加湿が必要なのでダニや給水忘れによる失敗も多くなります。
しかし、本種は乾燥を好む樹上性であり、石膏巣の乾燥で全滅!といったことがないので失敗の少ない種類です。
土も不要ですし、「毒針を持って狩りをする蟻を初めて飼いたい」と思われる方の飼育デビューにはいかがでしょうか?
飼育に際しては、強い顎でチューブやケースに穴をあけて脱走の可能性があるので、その点は注意してください。
この記事がムネアカナガフシアリの飼育に役立てばうれしく思います。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
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その他のアリの飼育情報を記事にまとめています。ご覧ください。