・公園でよく見る中型のアリってなんだろう?
・石膏巣で飼育できる種類を知りたいな
こんな疑問や困りごとを本記事では解決します。
この記事を書いた人
アリ飼育用品店「あり巣 in underground」の製作担当です。
数十種類超のアリ飼育経験をもとにおすすめの飼育方法などを書いていきます!
都市部の公園でもたくさん見られる、土中営巣種「クロヤマアリ」。
今日は、そんなクロヤマアリについてご紹介しますね!
この記事でわかること
- クロヤマアリってどんなアリ?
- クロヤマアリの飼育方法
- クロヤマアリの販売先
クロヤマアリってどんなアリ?
(↑詳細ページクリックで国内種カテゴリページが開きます。在庫切れの場合、商品ページが非公開の場合があります。)
クロヤマアリは、中型のヤマアリ属のアリです。
都市部の公園などで最もよく目につくアリで一般的な「黒蟻」と呼ばれるのは本種が一番多いのではないでしょうか。
体色は黒~濃灰色で、ハヤシクロヤマアリよりもさらにマットな色合いです。
動きは機敏で非常に忙しく動き回る印象です。
本記事で扱うクロヤマアリには形態(見た目)で判別できない複数の隠蔽種群がいると言われます。
ですが、本記事のアリは全ての隠蔽種群をまとめて「クロヤマアリ」と表記します。
その点をご了承のできる方のみ、この先を読み進めてください。
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生息環境と分布
北海道~九州まで全国に広く分布します。
公園や民家の庭など人の生活環境によく順応するので、おそらく日本で一番見られている蟻です。
主な営巣場所は石の下で、コンクリートの人工物の隙間などにも巣口が見られます。
わたしがよく行く平地の公園では、トビイロシワアリと共によく見る種類だね!
体長
体長 | 備考 | |
女王 | 約10mm | |
ワーカー | 4~6mm |
女王の体長は、約10mm。
ワーカーは、メジャーワーカーは出現せず一定の形態でサイズが変化します。
クロヤマアリくらいの中型種からは肉眼でも観察しやすいね!
単雌 or 多雌 ?
クロヤマアリは基本的に単雌性です。
ただし、関東地方の一群では多雌コロニーも見られるようです。
わたしのいる愛知県では単雌コロニーしかみたことないよ!
クロヤマアリの飼育方法
ここからはクロヤマアリの飼育方法について解説していきます。
一緒に勉強していきましょう!
エサについて
クロヤマアリは「雑食」です。
蜜餌を中心に肉餌も共にバランスよくあたえましょう!
屋外でも春から夏にかけて、昆虫を積極的に狩る姿を見ることができます。
蜜餌と肉餌のおすすめ品は下記の記事に詳しくありますのでご覧ください。
おすすめの巣のタイプ
クロヤマアリにおすすめの巣のタイプは「石膏」「試験管」「アクリル」です。
地面に巣を作る典型的な土中営巣種です。
巣内は湿っているので、飼育時も加湿できる巣がいいでしょう。
さらに、わたしが飼育経験のないアリの飼育環境を探る時にする判別方法の一つ。
「試験管判別式」による乾湿の好みの判定は、「多湿を好む」です。
「試験管判別式って何?」って方は、下記の記事をご覧ください。
湿度は高めを好み、石膏巣との相性は良い方です。
ですが、環境適応の能力も高いので、アクリル巣や試験管巣でも飼育可能です。
加水できる巣と親和性の高い種類ですね!
ですが、観察しているとあまりに給水し過ぎた石膏巣は好まないようです。
給水直後に餌場にたくさんの蟻が出てきたりしたら、少しだけ給水量を減らしてあげましょう。
以上から、ここでは「石膏巣」「3Dプリント巣」「試験管巣」を順位をつけずにおすすめさせて頂きます。
わたしのお店でも石膏巣は売ってるし、作り方も公開してるよっ!!!
平型石膏の作り方は下記の記事に詳細があります。
3Dプリンター巣は下記の記事に詳細があります。
試験管巣は下記の記事に詳細があります。
加湿飼育については下記の記事に詳細がありますのでご覧ください。
飼育の適正温度
国内普通種ですので、基本は常温で問題ありません。
ただし、夏場は30℃を超えないように注意が必要です。
また寒冷地でも見られるため、耐寒性が高い種類です。
冬場は常時5℃を下回るような環境でなければ加温は不要です。
冬眠はする?越冬の方法は?
クロヤマアリは、冬眠をする種類です。
越冬時は幼虫などはおらず、成虫のみで冬越しをします。
目安の期間は、11月~3月初旬の中で3か月ほどです。
冬眠期間に入るのはコロニーごとに差があり、早ければ9月ごろからエサの消費量が落ちることがあります。
冬眠時は、5℃~15℃ぐらいの温度がベストですので国内の一般種と同じように冬越しさせましょう。
冬場の飼育については、別記事に詳細がありますのでご覧ください。
クロヤマアリは臆病!?
クロヤマアリを飼育していて思うことの一つが環境の変化に敏感であることです。
具体的には、振動や明るさの変化でパニックになりやすい種類です。
電気のON,OFFやエサやりの振動でも過敏に反応していますので、ストレス耐性は高くないのでしょう。
ですので、頻繁に観察したくなる初心者向けとは言い難い面があります。
クロヤマアリが初心者向け生体として紹介されることもありますが、それは国内のアリ飼育の情報と歴史が「石膏巣と相性の良い生体」に偏っているからであり、わたしは先に書いた通り必ずしもそうではないと感じています。
実際に様々な種類を飼育するとクロヤマアリはストレスに弱く、他の飼育容易種比べてと立ち上げ時に食卵などに注意を要するイメージが強いです。
ただし、これは石膏巣や試験管で飼育する場合であり、土飼育では飼育は容易だと思います。
理由は、遮光ができる場所がアリ自身で作れるからで、観察性が下がるものの飼育は容易です。
石膏巣等の観察性の良い巣で飼育する場合は、明るさの変化が少ない場所で飼育するのが良いでしょう。
難しそうなこと書いてるけど、放置気味に飼育してコロニーが立ち上がればよく増える楽しい種類だよ!
クロヤマアリの入手方法
結婚飛行の時期に新女王を採集する
一般的に6月~7月が結婚飛行のシーズンです。
生息地では、晴れた暖かく風の弱い日に一斉に飛び立った新女王を採集できる可能性があります。
羽付きの女王は未交尾の可能性がありますので、路上で羽を落とした女王を見つけたら採集してみましょう!
新女王採集については別記事がありますので、ご覧ください。
コロニーごと採集をする
生息地を知っているならコロニー採集を試みてもいいでしょう。
公園、民家の「石の下」などを探すと見つけることができます。
コロニー採集には電動吸虫管アタッチメントの「あり巣ガン」がおすすめです!
使用のデモや使い方を詳しく説明しています。
ただし、採集時にはルール、注意点は守りましょう。
採集時の注意
- 許可なく私有地で採集してはいけない
- 公共の公園などでも採集禁止場所は多いので、必ず調べる
- 朽木や竹を割ったら人の往来のある場所に放置しない
- 安全に注意して怪我のないよう行う
わたしの住む愛知県西部の緑地公園は、採集禁止の場所がとても多い地域です。
自由に出入りできる公共の場、公園であっても、それぞれの場所のルールがあるので調べてみましょう。
わたしは私有地の山に行くときは、土地の所有者の許諾を得てアリ採集していますよ!
クロヤマアリの販売先
国内種は、下記にて販売しています。
新女王とコロニーの違いなど、販売額も変動することが多いので、一度チェックしてみましょう!
(↑詳細ページクリックで国内種カテゴリページが開きます。在庫切れの場合、商品ページが非公開の場合があります。)
まとめ
今回は、国内種のクロヤマアリについてご紹介いたしました。
日本で一番見られる種類で皆さんも必ず目にしたことがあると思います。
初期コロニーの立ち上げが上手くいけばエサの好き嫌いは少ない飼いやすい蟻の一つです。
自作の石膏巣を使いたい方には、相性がいいのもポイント高いですね!
飼育に際しては、振動や明るさの変化などに過敏なので、その点は注意してください。
この記事がクロヤマアリの飼育に役立てばうれしく思います。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
感想やアドバイス、間違いのご指摘などありましたらコメントやTwitter、お問い合わせフォームからお知らせ頂ければ嬉しいです!
その他のアリの飼育情報を記事にまとめています。ご覧ください。
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