・頭の大きな蟻を見つけたけどどんなアリだろう?
・飼育が簡単でよく増える種類を知りたいな
こんな疑問や困りごとを本記事では解決します。
この記事を書いた人
アリ飼育用品店「あり巣 in underground」の製作担当です。
数十種類超のアリ飼育経験をもとにおすすめの飼育方法などを書いていきます!
頭が大きな兵アリが特徴的で繁殖力旺盛な「オオズアリ」。
今日は、そんなオオズアリについてご紹介しますね!
この記事でわかること
- オオズアリってどんなアリ?
- オオズアリの飼育方法
- オオズアリの販売先
オオズアリってどんなアリ?
(↑詳細ページクリックで国内種カテゴリページが開きます。在庫切れの場合、商品ページが非公開の場合があります。)
オオズアリは、小~中型のオオズアリ属のアリです。
女王と兵アリは全体的にマットな黒褐色~赤褐色。
働きアリは、胸部まで赤褐色をしているためもう少し明るい印象を受けます。
生息環境と分布
国内では関東以南に分布します。
国外では東アジア、東南アジア、インドに至るまでの広範に分布しています。
主な営巣場所は、林縁の石の下や朽木の中で見ることができます。
国内普通種ですが、生息域からすると温暖な地域にいる種類です。
関東が生息域の北限って感じですね!
体長
体長 | 備考 | |
女王 | 6~8mm | |
兵アリ | 約4.5mm | |
働きアリ | 約3mm |
女王の体長は、6~8mm。
ワーカーは、頭の大きな「兵アリ(兵隊アリ)」と通常の「働きアリ」のはっきりした2タイプが存在します。
体に比べて大きすぎるとも思える兵アリの頭は、顎を動かすための筋肉がギッシリ詰まっていてエサの解体に役に立ちます。
働きアリの線はとても細く、華奢な印象を受けます。
オオズアリの仲間は頭の大きな「兵アリ」が特徴的だよね!
単雌 or 多雌 ?
オオズアリは多雌性です。
複数の女王が共同でコロニーを形成します。
数は少ないけど、単雌のコロニーも見つかるよ!
繫殖力旺盛でめちゃくちゃ増える
オオズアリは、多雌性による産卵の多さと旺盛な食欲で一度増え始めるとクロオオアリなどの他の代表的な飼育種と比較して、とても速い速度でワーカーが増えていきます。
「オオズアリはエサを与えた分だけ増える」このように表現されることもあるほどです。
ただし、働きアリは体力がとても少ないので要注意。
エサ切れや輸送ストレス、乾燥などの負荷を与えると一気に数を減らすことがあります。
人と同じく社会性を持つアリですが、全体主義的なコロニーの発展方法を取ります。
オオズアリのマイナーワーカーは「大量に生まれ、コロニーのために簡単に死ぬ」といった、人の持つ利己的な感覚とは違う生き方を見せてくれます。
「個は全の為に生きる」といった蟻が繁栄できた理由を垣間見ることができるでしょう。
また、数の増減が激しいので飼育していると好不調が一目でわかる種類です。
下記は、生き餌を潤沢に与えてとても上手く飼育されている方の一例です。
単雌コロニーでも一年でワーカーの数が数十倍に膨れ上がるとは、凄い繁殖力ですね!
コロニー規模は数千匹でいったん落ち着いて、新女王やオス蟻の生産にコロニーのリソースを割いていくみたいだよ!
野生のオオズアリの巣を観察してみよう
オオズアリは先述の通り石の下などに営巣します。
森と隣接する公園で巣口が見られたのでその様子を撮影してきました。
石の脇に巣口を開いて、石下に浅く広く巣を作っています。
巣内から運び出されている土の色から、巣内は湿潤環境であるのがわかりますね!
オオズアリの飼育方法
ここからはオオズアリの飼育方法について解説していきます。
一緒に勉強していきましょう!
エサについて
オオズアリは肉食性が強いので、肉餌を主食としてあたえましょう。
エサの好みは全くうるさくなく人工的な粉末餌でもなんでも食べてくれる飼育がしやすい種類です。
ただし、エサ切れには弱いので要注意。
できるだけ隔日以上の頻度でエサをあたえることがコロニー発展のコツです。
蜜も与えると飲むので、肉餌と共に与えてあげましょう。
高タンパク配合の総合食ですべてのアリにおすすめ!
最高のアリのエサを自負する「スイーツパウダーpro」です。
既にお使いの方からも非常に高い評価を頂いています。
使用者の生の声を下記の記事からご覧ください。
他の蜜餌と肉餌のおすすめ品は下記の記事に詳しくありますのでご覧ください。
オオズアリの仲間は他の蟻の死骸すら食べて「悪食」って思うくらい何でも食べてくれるよ!
エサを中々食べてくれなくて不安って思う人にぜひおすすめしたい種類ですね!
おすすめの巣のタイプ
オオズアリにおすすめの巣のタイプは「石膏」「試験管」「アクリル」です。
石下や湿った朽木に営巣する種類です。
巣内は湿っているので、飼育時も加湿できる巣がいいでしょう。
ただし、肉食性のアリには積極的に昆虫を与えるので、腐敗した際のアンモニアなどがこもらないよう、餌場の通気は必ず確保してください。
メッシュ付きのエサ場をおすすめいたします。
さらに、わたしが飼育経験のないアリの飼育環境を探る時にする判別方法の一つ。
「試験管判別式」による乾湿の好みの判定は、「多湿を好む」です。
「試験管判別式って何?」って方は、下記の記事をご覧ください。
湿度は高めを好み、石膏巣との相性は良い種類です。
ですが、環境適応の能力もあるので、アクリル巣や試験管巣でも飼育可能です。
加水できる巣と親和性の高い種類ですね!
以上から、ここでは「石膏巣」をベストとして、次点で「アクリル巣」と「試験管巣」をおすすめさせて頂きます。
わたしのお店でも石膏巣は売ってるし、作り方も公開してるよっ!!!
平型石膏の作り方は下記の記事に詳細があります。
加湿飼育については下記の記事に詳細がありますのでご覧ください。
小型種は脱走名人
小型種の蟻はわずかな隙間から脱走しやすく、体重も軽いので脱走防止として有名なベビーパウダーも薄塗りではほとんど効きません。
ですが、厚塗りすると塗られた領域では滑るのが嫌なのか、足を踏み入れないのでおすすめです。
脱走防止対策については、下記に詳細がありますのでご覧ください。
飼育の適正温度
国内普通種ですので、基本は常温で問題ありません。
ただし、夏場は30℃を超えないように注意が必要です。
また東北地方より北の寒冷地では見られないため、厳寒地で飼育する場合、冬場の飼育温度は5℃を下回らないように気を付けましょう。
冬場に加温するには?
わたしは下記の器具を使って加温しています!
発泡スチロールに穴あけしてコードを通すだけなので簡単ですよ!
保冷温庫があれば、夏の冷却も冬の加温も両方できるから便利です。
わたしは、下記の保冷温庫を使っていますよ!
冬眠はする?越冬の方法は?
オオズアリは、飼育下では冬眠をほとんどしない種類です。
野生下では仮死状態で冬越しをしているようですが、わたしの飼育環境においては冬に活性が落ちるものの細々と採餌と子育てをしていました。
加温無しでも年中飼育を楽しめる稀有な種類ですね!
(15℃以上に加温した方が活性は上がります。)
わたしの飼育環境は冬場の室温が5℃~15℃程度です。
朝方でも室温が5℃を下回ることがないので活動可能なのかもしれませんね!
兵隊アリなのに戦わない!?
オオズアリの兵アリ(兵隊アリ)はその名に反して、生き餌などを与えてもあまり積極的に戦うことはありません。
主に狩りをするのは通常の働きアリで、兵アリはエサの解体などで活躍しています。
オオズアリの入手方法
結婚飛行の時期に新女王を採集する
一般的に7~9月が結婚飛行のシーズンです。
生息地では、晴れた暖かく風の弱い日に一斉に飛び立った新女王を採集できる可能性があります。
羽付きの女王は未交尾の可能性がありますので、路上で羽を落とした女王を見つけたら採集してみましょう!
新女王採集については別記事がありますので、ご覧ください。
わたしは、まだオオズアリの新女王に出会ったことがないので、詳細知っている方いたら、また教えてくださいね!
コロニーごと採集をする
生息地を知っているならコロニー採集を試みてもいいでしょう。
林縁の「石の下」やボロボロになった「朽木」などの中を探すと見つけることができます。
コロニー採集には電動吸虫管アタッチメントの「あり巣ガン」がおすすめです!
使用のデモや使い方を詳しく説明しています。
ただし、採集時にはルール、注意点は守りましょう。
採集時の注意
- 許可なく私有地で採集してはいけない
- 公共の公園などでも採集禁止場所は多いので、必ず調べる
- 朽木や竹を割ったら人の往来のある場所に放置しない
- 安全に注意して怪我のないよう行う
わたしの住む愛知県西部の緑地公園は、採集禁止の場所がとても多い地域です。
自由に出入りできる公共の場、公園であっても、それぞれの場所のルールがあるので調べてみましょう。
わたしは私有地の山に行くときは、土地の所有者の許諾を得てアリ採集していますよ!
オオズアリの販売先
国内種は、下記にて販売しています。
新女王とコロニーの違いなど、販売額も変動することが多いので、一度チェックしてみましょう!
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まとめ
今回は、国内種のオオズアリについてご紹介いたしました。
旺盛な繁殖力、特徴的な兵アリ、エサの好き嫌いがほとんどないという初心者にもおすすめできる生体です。
飼育に際しては、エサ切れには弱いので毎日~3日に1回以上のエサやりをするとたくさん増えてくれます。
この記事がオオズアリの飼育に役立てばうれしく思います。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
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その他のアリの飼育情報を記事にまとめています。ご覧ください。